第二からまつそう
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魔法少女まどか☆マギカ 第11話「最後に残った道しるべ」(内容前半) 「アニメあれこれ(85598)」
巨大な振り子の揺れる影が映るほむらの部屋
「時間遡航者。暁美ほむら。過去の可能性を切り替える事で幾多の並行世界を横断し、君が望む結末を求めてこの一ヶ月間をくり返して来たんだね」
語るキュゥべえを睨むほむら
「君の存在が一つの疑問に答えを出してくれた。何故鹿目まどかが魔法少女としてあれほど破格の素質を備えていたのか今なら納得いく仮説が立てられる」
「…」
「魔法少女としての潜在力はね背負い込んだ因果の量で決まってくる。一国の女王や救世主ならともかくごく平凡な人生だけを与えられてきたまどかに如何してあれ程膨大な因果の糸が集中してしまったのか不可解だった。だが、ねえ、ほむら。ひょっとしてまどかは君が同じ時間をくり返すごとに強力な魔法少女になっていったんじゃないのかい?」
ハッとするほむらにニヤリとするキュゥべえ
「やっぱりね。原因は君にあったんだ。正しくは君の魔法の副作用と言うべきかな?」
「如何言う事よ?」
「君が時間を巻き戻してきた理由はただ一。鹿目まどかの安否だ」
これまで何度も見てきたまどかの最期
「同じ理由と目的で何度も時間を遡るうちに君は幾つもの並行世界を螺旋状に束ねてしまったんだろう。鹿目まどかの存在を中心軸にしてね。その結果、決して絡まる事のなかった並行世界の因果線が全て今の時間軸のまどかに連結されてしまったとしたら、彼女のあの途方もない魔力係数にも納得がいく」
時計の前、糸が絡み十字架に張り付けられたようなまどかの姿
「君がくり返してきた時間、その中で循環した因果の全てが巡り巡って鹿目まどかに繋がってしまったんだ。あらゆる出来事の元凶としてね」
ほむらの膝に置く手に力が籠る
「お手柄だよ!ほむら。君がまどかを最強の魔女に育ててくれたんだ」

OP

街には黒雲が覆い雨が降り続く。
美樹さやかの葬儀会場をバックにニュースが流れる

「12日より行方が分からなくなっていた私立見滝原中学校2年生の美樹さやかさんが本日未明市内のホテルで遺体となって発見されました。発見現場にも争った痕跡が無い事から警察では事件と事故の両面で捜査を進めています」

学友たちが参列する中にまどかの姿も

「続いて天気予報です。今夜は北西の風がやや強く雨」

傘をさしかえったまどかをタオルを持った母が迎える
「お帰り」
髪についた雫を払ってやる母
傘を傘立てに投げ入れ靴を脱ぐまどか
「なあまどか」
「ん」
「さやかちゃんの件、本当に何も知らないんだな?」
「うん」
傘の先から雫が落ち、波紋が広がる
部屋に向かうまどかの背をじっと見つめる母

ぬいぐるみが並ぶまどかの部屋
制服のままベッドにぼーっとあおむけになっているまどか
「さやかちゃんも杏子ちゃんも死んじゃった」
窓の外が光り
「意外な展開では無いよ。予兆は随分前からあった」
キュゥべえの声に身構えるように起き上がるまどか
「どうでもイイって言うの?皆あなたの所為で死んだようなものなのに!」
ぬいぐるみの間に座り溜息をつくキュゥべえ
「例えば君は家畜に対して引け目を感じたりするかい?彼らがどういうプロセスで君達の食卓に並ぶのか?」
キュゥべえの瞳をじっと見るうち家畜としての鶏や豚や牛がまどかのの頭の中を過る
パッと顔を覆い
「止めてよ!」
「その反応は理不尽だ!この光景を残酷と思うなら君には本質が全く見えていない」
「あ…」
「彼等は人間の糧になる事を前提に生存競争から保護され淘汰される事無く繁殖している。牛も豚も鶏も他の野生動物に比べれば種としての繁殖ぶりは圧倒的だ。君達は皆理想的な共栄関係にあるじゃないか」
「同じだって言いたいの?」
「むしろ僕等は人類が家畜を扱うよりもずっと君達に対して譲歩しているよ?曲がりなりにも知的生命体と認めた上で交渉しているんだしね。…信じられないのかい?それなら、見せてあげようか?」
キュゥべえを見るまどか
「インキュベーターと人類が共に歩んできた歴史を」
ハッとするまどか
キュゥべえの両目から光が広がる
途端にこれまで地球上に現れた生命らしきイメージが螺旋を描いて現れる
道具や火を扱う人の祖先
大勢の人の前に立つ少女
「僕達はね、有史以前から君達の文明に干渉してきた。数えきれない程大勢の少女がインキュベーターと契約し、希望を叶え、そして絶望に身を委ねていった」
クレオパトラと思しき少女の繁栄と毒蛇にかまれた最期の姿
「あっ!」
鏡の前に座る呪術師らしき少女
「祈りから始まり、呪いで終わる。これまで数多の魔法少女達がくり返してきたサイクルだ」
館が燃えていく
「中には歴史に転機を齎し社会を新しいステージへと導いた子もいた」
旗を掲げ人々を扇動する少女
戦死した兵士の間で祈りを捧げる少女
十字架を抱いたまま火刑に遭う少女
「もう止めて!」
耐えられず涙が零れるまどか
目を閉じ耳を塞ぎ
「皆、皆信じてたの。信じてたのに、裏切られたのっ!」
「彼女達を裏切ったのは僕達ではなく、むしろ自分自身の祈りだよ。どんな希望もそれが条理にそぐわない限り必ず何らかの歪みを生みだす事になる。やがてそこから災厄が生じるのは当然の摂理だ。そんな当たり前の結末を裏切りだと言うなら、そもそも願い事なんてする事自体が間違いなのさ」
耳を塞ぐまどかに対抗する様に大きくなっていくキュゥべえの目
歴史上の様々なイメージの断片が流れる
目を開き塞いでいた手を放し落ちていくまどか
戦闘機らしき飛行機の影の舞う中をゆっくりと…
「でも、愚かとは言わないよ。彼女達の犠牲によって人の歴史が紡がれてきた事も又事実だし」
黒い面にそっと着地するまどか
ごぼごぼと排水溝に吸い込まれていく水
元のまどかの部屋のベッドの上
息を切らせるまどか
「そうやって過去に流された全ての涙を礎にして今の君達の暮らしは成り立っているんだよ」
涙を流すまどか
「それを正しく認識するならどうして高々数人の運命だけを特別視出来るんだい?」
「ずっとあの子達を見守りながらあなたは何も感じなかったの?皆がどんなに辛かったか分かってあげようとしなかったの?」
悲しげに訴えるまどか
「それが僕達に理解出来たなら、態々こんな星まで来なくても済んだんだけどね。僕達の文明では感情と言う現象は極めて稀な精神疾患でしかなかった。だから、君達人類を発見した時は驚いたよ。全ての個体が別個に感情を持ちながら共存している世界なんて想像だにしなかったからね」
「もしも、あなた達がこの星に来て無かったら?」
「君達は今でも裸で洞穴に住んでたんじゃないかな?」

降り続く雨
グラスの中の氷がグラスに当たり音を立てる
「やっぱねえ、教え子とこういう別れ方って言うのは辛いわよ」先生
「だよな」まどかの母
「事情がはっきりしないって言うのがまたね…3年生にも一人行方不明の子がいるし、職員会議はひっちゃかめっちゃかよ」
「何も分からないのか?やっぱり」
「さやかちゃんね、友達と恋愛絡みで一寸色々あったらしいの。その子もかなりダメージ背負っちゃってね。普通なら甘酸っぱい思い出で済むとこなんだけどこういう結末になっちゃうとね」
手にしたカクテルグラスをそっと揺らし続け話す先生
見つめるまどか母
「警察は家出の挙句に衰弱死って線で決着つけちゃうみたい。手掛かり、何も無いしね…まどかちゃんは如何?」
「…わっかんねえ。私の勘じゃ何か知ってる様子はあるんだ。でも、嘘をついてる様にも見えない…初めてなんだよ。あいつの本音を見抜けないなんて」
グラスから手を放し肘をついて額を支え目を伏せる
「情けねえなあ…自分の娘だってのに」
カクテルを口にし
「絢子が弱音を吐くなんてね」
「近頃、妙だなとは思っていたんだ。何か一人で背負い込んでるって察してはいたけど何時まで経っても私に相談してこねえ。ちったあ頼りにされてるって思ってたのにさ」
「あの年頃の子どもはね、ある日いきなり大人になっちゃったりするものよ。親にとってはショックだろうけど」
「そういうもんか…」
「信じてあげるしかないね。今まどかちゃんに必要なのは気持ちを整理する時間だろうから。しばらくは待ってあげないと」
優しく微笑む先生
「きついなあ。何も出来ねえのって」
「そういう所で要領悪いの相変わらずよね、絢子は…」

雨が降りしきる街
ほむらの家
呼び鈴が鳴りとチェーンをしたままほむらがドアを開けるとまどかが立っている
「入っていいかな?」

ワルプルギスの夜に関する資料が沢山浮かぶほむらの部屋
「これがワルプルギスの夜…杏子ちゃんが言ってた。一人で倒せないほど強い魔女をやっつけるためにほむらちゃんと二人で戦うんだって。ずっとここで準備してたのね」
じろりと睨むほむらに一歩下るまどかだが再び一歩前進し
「街中が危ないの?」
「…今までの魔女と違ってコイツは結界に隠れて身を守る必要なんてない。ただ一度具現しただけでも何千人と言う人が犠牲になるわ」
「なら!絶対にやっつけなきゃダメだよね?」
じっと見るほむら
「杏子ちゃんも死んじゃって、戦える魔法少女はもうほむらちゃんだけしか残ってない。だったら!」
遮る様に
「一人で十分よ!佐倉杏子には無理でも私なら一人でもワルプルギスの夜を撃退出来。杏子の援護も本当は必要なかったの」
目をあわせず言うほむら
「ただ彼女の顔を立ててあげただけ」
「本当に?」
頷くほむらだが
「何でだろう?私、ほむらちゃんの事信じたいのに、嘘つきだなんて思いたくないのに、全然大丈夫だって気持ちになれない。ほむらちゃんが言ってる事が本当だって思えない」
涙が零れるまどか
歯を食いしばり音を立てる様に足を踏むほむら
「本当の気持ちなんて伝えられるわけないのよ」
「ほむらちゃん?」
「だって…私は…私はまどかと…違う時間を生きてるんだもの!」
涙を零しながら振り返るほむら
飛び散る涙
まどかに駆け寄り抱きしめる
驚くまどか


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